けいれん重積型(二相性)急性脳症(acute encephalopathy with biphasic seizures and late reduced diffusion[AESD]は、二相性の臨床経過とMRIでの遅発性の拡散能低下(bright tree appearance[BTA])が特徴であり、日本の小児急性脳症の中で最も頻度が高いです(34%)。AESDの報告は2000年頃から始まるが、20年以上過ぎた現在になっても、AESDに対する特異的な治療法が確立されていないことは、診療上最大の課題であり、その理由は、対象患児、治療内容、治療開始時期を統一した研究が無いからです。
当院は2006年6月以降、急性脳症に対しては臨床経過、およびMRI、脳波を施行し、AESDの診断を確実にし、前もって定めた治療介入基準下に、特殊治療を施行し、全身管理を徹底した上、特殊治療を重ねるという治療プロトコールを続けてきています。
今回、我々は2006年度以降の当院の急性脳症に対する、対象患児、治療内容、開始時期を揃えた治療に対する予後を明らかにし、急性脳症治療に新しい知見をもたらしたいと考えています。