TOP NEWS > 胸部大動脈瘤に対するステントグラフト治療はじまる
 


  大動脈瘤の治療は、これまで動脈瘤を人工血管に取り換える手術が行われてきました。しかし、心臓や脳血管障害などの合併症を持つ患者さん、過去に手術を受けた患者さん、あるいはご高齢の患者さんでは、手術リスクが高くなる場合があります。このような患者さんに対して、従来の手術に比べ体への負担が少なく治療が行えるように開発されたのがステントグラフトです。

 当院では2007年6月より腹部ステントグラフト治療を開始し、 2009年2月までの間に40名の患者さんに行いました。

 胸部ステントグラフトは2005年3月に米国FDAが初めて企業製品を認可、本邦でも2008年7月に厚労省がこれを認可し使用可能となりました。この製品の登場で、より一層安全で確実な治療法として広がりを見せています。当院でも2008年7月より、胸部大動脈瘤に対するステントグラフト治療を開始し、2009年2月末までに10名の患者さんに行いました。

 この治療によりご高齢の方やさまざまな合併疾患を持った方に対しても、低侵襲で安全に治療を行うことができるようになりました。今後もステントグラフト治療に積極的に取り組み、さらに一層の成績向上を目指していきたいと考えています。

 
 
 

 しかし現在のところ、ステントグラフトの適応となるのは、胸部大動脈のうちの「下行大動脈」かつ「真性動脈瘤」に限定されています。したがって、弓部大動脈や胸腹部大動脈にかかるもの、大動脈解離や外傷による大動脈断裂、手術後の仮性動脈瘤などの疾患は適応にはなっていません。

  これは、認可申請のために行った臨床試験が真性動脈瘤のみを対象としたためであり、上述したその他の大動脈の部位や疾患では有効でないという意味ではありません。

 実際に、弓部や胸腹部にかかる大動脈瘤であっても、十分な Landing Zone (着地距離)を確保する工夫をすることで安全に行うことができ、成績は良好であるとする報告が多く見られています。

 また実際には、ほぼ半数の症例で真性動脈瘤以外にも使用されているというのが現状です。有効性・耐久性が明らかにされていくことで、近いうちに適応となる部位や疾患が広がっていくものと予想されます。 
 
                                                       集中治療部 渡辺 俊明

 
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