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前立腺がん密封小線源療法(ブラキセラピー)

治療を受けられる方やご家族の方へ

前立腺がんを切らずに治すブラキセラピー

前立腺がんは食習慣の欧米化などにともない最近急速に増加しており、2020年には肺がんに次いで2位になると予想されています。そのため21世紀の国民的がんともいわれています。平成18年12月より熊本赤十字病院では、この前立腺がんを切らずに治す事ができる新しい治療法を受けられるようになりました。

ヨウ素125の永久留置による小線源療法(ブラキセラピー)は、前立腺がんに対する放射線治療として、アメリカでは以前より行われており、年間およそ100,000人がこの治療を受けています。この数は手術(前立腺全摘除術)を受ける人とほぼ同数です。手術と比べて侵襲が少なく、安全で治療期間が短いのが特徴で、この治療を選択する方が日本でも急増しています。

現在、日本では全国の約60施設でこの治療が施行されています。当院でも泌尿器科、放射線科が全面的に協力し、十分な準備のうえ、熊本県で唯一この新しい治療を開始するに至りました。

よくあるご質問

回答

前立腺がんの根治療法にはどんな治療法がありますか?

がんを根絶させるための治療法(根治療法)としては、前立腺全摘手術と放射線治療(外照射およびブラキセラピー)があります。転移がない場合に適応となります。

ブラキセラピーとは、どのような治療なのですか?

ブラキセラピーとは、体内に放射線源を埋め込んでがんを根絶させる治療法です。
線源はチタンカプセルの中にヨウ素125が密封されたものです。これを前立腺の中に50〜100個埋め込んで、がん病巣へ直接放射線を照射し続けます。エネルギーが非常に弱いため、がんそのものには有効で、しかも周囲の組織への影響が少ないという特徴を持っています。

どんな前立腺がんがブラキセラピーで治療できますか?

転移や浸潤がなく、がんが前立腺に限局しているいわゆる早期がんがこの治療のよい適応です。
病期BあるいはステージT1〜T2などの場合です。PSA値が高いなど、病巣のひろがりが予測される場合には、外からの放射線照射やホルモン療法を併用することがあります。

前立腺内に挿入された線源のX線写真

線源はどのようにして挿入するのですか?

全身麻酔で治療を行います。肛門から超音波のプローブを挿入して前立腺の画像をコンピューターで解析し、線源をどこに何個挿入するかを計画します。会陰部からアプリケーター針とよばれる針を20本ほど前立腺へ刺入し、計画通りに線源を40〜100個留置します。

この治療の優れた点を教えてください。

放射線を前立腺内に集中して照射する治療法であるため、大きな効果が期待できます。また、周りの膀胱や直腸への影響が少なく、副作用は少なくなります。身体への負担も手術に比べて軽く、入院期間は少なくすみます。治療後の性機能(勃起力)は、7割くらいの人で維持されるといわれています。

ちなみに、アメリカでの10年間の治療成績では前立線全摘手術を行った場合とほぼ同じ程度の治療効果とされ、高い評価を受けています。最近では、局所浸潤がんでも外照射やホルモン療法の併用により、手術に比べ有効性が高いとの報告もあります。

入院期間はどのくらいですか?

ブラキセラピーは3泊4日の入院です。前立腺全摘の場合、2週間程度の入院とその後しばらくの自宅療養が必要です。放射線外照射では、1日の照射時間は10分程度ですが、月曜日から金曜日まで毎日、6〜8週間通院が必要です。

前立腺全摘出術と比較してどのような利点があるのでしょうか?

治療効果はほぼ同等といわれています。それに対して合併症は少なく、尿失禁などはほとんどみられないようです。性機能も比較的維持されるといわれています。治療時間が2〜3時間と短い、出血がほとんどなく輸血の必要がない、など低侵襲の治療です。入院期間は3泊4日。比較的早く日常生活に復帰することができます。

ブラキセラピーの術後の利点はありますか?

尿失禁が少なく性機能が維持されやすいのがブラキセラピーの特徴です。前立腺がんの治療の一つの課題は、いかに尿失禁を起こさず、性機能(勃起能)を維持してQOL(生活の質)を低下させないようにするかということにあります。ブラキセラピーでは、治療直後の尿失禁はほとんどなく、長期間の経過観察でまれに生じる程度です。しかし、その反面治療前に排尿困難などある方は頻尿や尿閉などが生じることもあります。

性機能に関しても、このブラキセラピーが最も良好で、5年後に性機能が維持される率は7〜8割と報告されています。ちなみにホルモン療法では性機能はほとんどの場合に失われますし、前立腺全摘手術において神経温存手術を試みても性機能が保たれる率は3〜4割程度といわれています。放射線の外照射の場合でも性機能が保たれる率は5割程度といわれています。

ホルモン療法とはどのような治療ですか?

前立腺がんは男性ホルモンに感受性があるため、男性ホルモンを抑えることにより、前立腺がんを治療することができます。この方法はホルモン療法と呼ばれ、根治療法ではありませんが、有効で広く行われています。

放射線外照射とブラキセラピーの違いを教えてください。

体の外から放射線を照射する場合には、放射線が体内で吸収されるため、強いエネルギーで照射する必要があります。そのため、前立腺の周囲の組織にも放射線がかかり、放射線に弱い直腸・膀胱・皮膚などに放射線障害が起こります。一方ブラキセラピーでは、線源であるヨウ素125のエネルギーが弱いため、前立腺内には十分な量の照射を行いながら前立腺周囲への照射量を少なく抑えられます。そのため、皮膚への影響はほとんどなく、直腸や膀胱での放射線障害の起こる可能性も低く、これがこの治療の大きな利点です。

前立腺がんの治療法の選択はどのようにして判断しているのですか?

待機療法・ブラキセラピー・外照射療法・摘出手術・ホルモン療法など数多くの治療法があります。どの治療法を選ぶのかといった場合に、患者さんもご家族も専門家でさえも迷うことがあります。その際に判断の材料となるポイントは

  • がんのひろがり(病期、ステージ、被膜外浸潤)や悪性度(グリーソン値、分化度)
  • 各治療法のプラス面、マイナス面
  • 期待余命、ライフスタイル

これらを十分に考慮して治療方針を決定する必要があります。

保険は適用されますか?

適用になっていますので、治療は保険診療となります。

線源を入れたままで大丈夫ですか?

線源から出る放射線は1年でほぼゼロになります。線源はチタンでできていますが、チタンは人工関節など多くの医療材料で使用されており、安全性の高い金属です。MRI検査にも支障ありません。治療後1年間は線源から放射線が出るため、万が一死亡された場合は解剖して前立腺を摘出する必要があります。

子どもや妊婦との長時間の接触はしばらく避けましょう。

一般の方との長時間にわたる接触はしばらく避けましょう。

主治医の先生から退院時に渡される指示書に記載されたことを守りましょう。

線源が体内にあることを記したカードを、治療後1年間所持携帯します。

前立腺がんの、治療後の再発の程度を教えてください。

がん細胞が1個でも生き残っていれば、再発しますが、再発までの期間や生存率にはがんそのもののひろがりや悪性度が大きく影響します。治療後にPSAが再上昇した場合、PSA再発といいますが、前立腺全摘手術の場合には5年で3割程度といわれています。再発した場合、次の治療の方法と時期を検討することになります。

お問い合わせ

■泌尿器科外来(窓口 12番)
TEL:096-384-2111(内線6220・6221)