「腎臓・尿路の感染症」で入院される場合は、ほとんどは腎盂腎炎と呼ばれる高熱が続き、放置すると死に至る重篤な疾患です。
腎盂腎炎でも軽症の方は外来で抗菌薬加療を行いますので、入院される方は特に重症の方となります。腎盂腎炎の抗生物質の治療期間は点滴で7~10日、その後内服の抗菌薬に変更し合計で14日間の治療を行います。ただ、腎盂腎炎を契機に基礎疾患の増悪や全身状態の悪化がおこったり、特殊な耐性菌などが原因の場合には内服の抗菌薬に変更できず点滴の抗菌薬で14日間の治療を行う場合もあり、平均すると在院日数が13日程度となります
「誤嚥性肺炎」は、飲食物や唾液が肺に流れ込むことによって生じる肺炎です。多くの方は高齢、脳卒中後などの重篤な基礎疾患が背景にあることが多く、肺炎を契機に全身状態の悪化や呑み込みの力がさらに悪化し、その治療が難渋するため治療期間が長くなり、リハビリや療養のために転院が必要となることが多くなります。当院では肺炎・誤嚥性肺炎ともに、肺炎だけでなく全身の様々な状態の治療を医師のみならず、看護師、リハビリテーション療法士、栄養士などの様々な角度から治療を行い全国的にも短い治療期間で済むようにしております。また、地域の病院と協力し速やかに転院してより快適で必要な医療が地域で受けられるように努めています。
「急性腎不全」は何らかの理由で腎臓の機能が急激に低下した状態で、血液透析などが必要でなかった症例を表しています。脱水、血圧低下、心不全に合併したもの、薬剤の影響、尿は作れていても膀胱から排出することができない尿閉などで生じます。全身状態を管理し、原因となっている病態を改善させることで、改善している症例を表しています。
「重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患」で頻度が多い疾患としては顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、巨細胞性動脈炎といった血管炎症候群や、全身性エリテマトーデス、成人スティル病といった膠原病疾患が含まれます。いずれも原因のはっきりしない発熱や関節痛、筋肉痛、皮膚の発疹などの症状を契機に診断されることが多いですが、生命予後の改善や臓器障害予防のためには早期に診断し、早期に治療開始することが非常に重要となります。治療方法も以前は高用量のステロイド治療が中心でしたが、最近は生物学的製剤や分子標的製剤といった新規治療薬の登場により、従来よりステロイドの投与量、投与期間を減らすことが可能になってきました。当院でもこれらの治療戦略により可能なかぎりステロイドの投与量を抑えつつ再燃を予防する治療を行っています。
「その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害」で入院される場合は主にナトリウムやカリウム、カルシウムといった体内のミネラルの異常や体液が急激に酸性に傾くアシドーシスといった病態を表しています。多くの場合は、体内の水分量の異常やミネラル異常・アシドーシスは同時に異常を来す場合が多く、全体の調整と原因となっている問題を改善することで治療を行っています。