熊本赤十字病院

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国際救援活動

日本赤十字社の国際救援の基地として

私たちが考える国際医療救援

国際医療救援の活動は、戦傷・災害外科とプライマリー・ヘルス・ケア(PHC)を原点とした医療が主となります。 古代ギリシャの医師ヒポクラテスが「外科医になりたければ戦場に行け」と述べたように、戦傷外科は創傷治療をいかに成功させるかという点で外科の基本です。

一方、PHCに携わることは、社会全体における医療の位置付けの理解に役立ちます。 すなわち、国際医療救援は、単に相手の救援活動を行うだけでなく、救援活動を通じて私達が現地の人々、現地の医療人から学ぶ貴重な機会です。 国際救援を通じて学んだことは、私達が日常行なっている先進医療を基礎からより充実させることに役立ちます。

  • つくる

    当院は、救援手段の研究や救援資機材の開発を進めています。 また、国際医療救援チームが使用する資機材を開発・管理しています。

  • そだてる

    当院は、日本赤十字社の海外医療救援チームの研修会、事業管理手法などの研修を開催しています。

  • やくだてる

    当院は、これまでに200名以上の職員を国際赤十字の救援事業などに派遣しています。

つくる

救援機材の研究・開発

ERU(Emergency Response Unit)とは?

ERUとは、国際赤十字の救援チームの名称です。
大規模災害が起こった際、被災者を迅速かつ効果的に救援するため、1996年にノルウェー赤十字社とドイツ赤十字社が初めて整備しました。 現在、日本赤十字社のERU機材を熊本赤十字病院が保管しています。

ERU資機材について

当院が開発を続けてきた日本赤十字社の仮設診療所(ERU)資機材の物量は、最大で約135㎥、約18トンに上ります。
資機材には、医薬品の他、テント、発電機、給水機材、通信機材、生活物資等が含まれます。 日本赤十字社はERU機材を熊本とドバイの2箇所に保管し、国内外の災害に備えています。

ERU資機材 + 医薬品 + 車両 = 仮説診療所資機材 仮設診療所資機材 + 緊急救援のために訓練された要員 = Unit

そだてる

国際救援要員の養成

国際救援要員・開発協力要員の養成システム

日本赤十字社の国際救援・開発協力事業に参加するためには、外国語の習得の他、研修会への参加が義務付けられています。 当院は日本、アジア各国から参加者を募り、国際救援要員の研修や事業管理手法の研修などを開催しています。

また、医師、看護師に対するイラク、バングラデシュでの現地研修も実施しています。 その他、海外医療救援チームの研修会も行なっており、この研修会を修了した国内外の赤十字スタッフが海外の災害救援で活躍しています。

英語能力、必要な技能の研修後に派遣されます。
  • 国際医療救援(ERU)チームの研修会

    日本赤十字社の海外医療救援チームの研修会を開催しています。 この研修会を終了した国内外の赤十字スタッフが海外の災害救援で活躍しています。

  • 事業管理手法の研修会

    国際的な人道支援機関で標準的に使用されている事業管理手法(PCM手法)の研修を開催しています。

  • 海外での現地研修

    イラク・クルド地域の戦傷外科病院、バングラデシュの国際下痢症疾病センターでの現地研修に医療スタッフを派遣しています。

やくだてる

国際救援要員の派遣

要員の派遣

当院は、昭和55年(1980年)以降、200名以上の職員を国際赤十字の救援事業などに派遣しています。
2011年は、イラク共和国クルド地域との医療技術交流、ハイチ地震復興支援、コレラ救援などに要員を派遣しました。

イラクの医療機関への技術交流事業

互いに学び、高めあう

当院は、平成15年(2003年)から、イラク北部クルド地域の医療機関への技術交流事業を実施しています。
この事業は、日本からイラクへの一方的な技術支援ではなく、日本とイラクの医療人が相互の得意分野を学び、互いに医療技術を向上させていく、新たな形の国際協力活動です。

日本からは先進医療、イラクからは外傷治療でそれぞれの技術交流を図っています。

要員派遣一覧(昭和55年〜平成23年)

事業名 期間 人数
カンボジア難民救援 S.55-H.1 10
ベトナム難民救援 S.55-H.5 12
カンボジア保健衛生事業 H.4 1
バングラディシュ災害対策事業 S.63-H.1 1
アフガン難民救援
(国際赤十字委員会)
H.1-8 5
アフガン難民救援
(国際赤十字連盟)
H.13-14 1
パキスタン紛争犠牲者救援
(国際赤十字委員会)
H.21-22 2
ネパール保健衛生事業 S.62-H.4 2
エチオピア干ばつ被災者救援 S.59-60 1
スーダン干ばつ被災者救援 S.60 1
スーダン紛争犠牲者救援 H.11 1
ケニア紛争犠牲者救援 H.2-3
H.8-9
2
ケニア洪水被災者救援 H.18-19 1
コンゴ紛争犠牲者救援 H.6-7 1
ジンバブエHIV/AIDS支援事業 H.14-16 5
ジンバブエコレラ救援事業 H.20-21 7
ソビエト地震被災者復興支援 H.1-2 1
イラク医療技術交流事業 H.15-現在 47
湾岸中東地域
(シリア・ヨルダン・クウェート
)紛争犠牲者救援
H.3 2
コソボ紛争犠牲者救援
トルコ地震救援
H.11 2
台湾地震救援 H.11 4
東ティモール紛争犠牲者救援 H.12-13 5
スマトラ沖地震救援 H.12 1
事業名 期間 人数
スマトラ島沖地震・津波支援 H.16-17 18
ジャワ島沖地震救援 H.18 2
エルサルバドル地震被災者救援 H.13 1
インド西部地震救援 H.13 9
ペルー地震救援 H.13 2
シエラレオネ紛争犠牲者救援 H.13 1
パキスタン北部地震救援 H.17-18 9
タンザニア難民救援
(国際赤十字連盟)
H.13-14
H.15-16
2
タンザニア赤十字社難民支援事行 H.18-19 2
アフガニスタン医療復興支援事業 H.14-16 5
アフガニスタン地震被災者救援
(日本赤十字社/国際赤十字連盟)
H.10-14 4
ルワンダ難民救援 H.8 1
イラク危機対応調査 H.15 2
バム(イラン)地震救援 H.15-16 10
イラン地震被災者救援 H.14 1
在外邦人救急法普及調査
(イラン・アラブ首長国連邦)
H.20 6
リベリア紛争犠牲者救援 H.14 1
スリランカ津波救援・復興支援 H.17-19 4
ミャンマーサイクロン救援 H.20 1
香港紅十字会ERU研修会開催協力 H.21 7
ハイチ地震被災者救援 H.21-23 11
チリ地震被災者救援 H.22 4
パキスタン洪水被災者救援 H.22 2
ハイチ・コレラ患者救援 H.22-23 3

国内救援活動

絶え間なく発生する自然災害に備えて
基幹災害拠点病院

当院は、熊本県の「基幹災害拠点病院」に指定されています。 基幹災害拠点病院は、県内や近県で地震・津波・台風・噴火等の災害が発生した場合に、災害医療を実施する地域災害拠点病院の機能を強化し、災害医療に関して県の中心的な役割を果たすもので、原則として都道府県に1ヶ所設置されています。
当院では、災害時においても切れ目のない医療を提供できるよう医療設備の備えやライフラインの確保、多数傷病者の受入れに関する訓練の実施など、さまざまな対策を行っています。

熊本赤十字病院は災害に8備えています

  • 01
    3日分

    353.2平方メートルの大容量で、院内生活用水を約3日分蓄えることができます。

  • 02
    食料
    3日分

    地下と8階の2か所にある食料用倉庫に患者食3食分×3日分を備蓄しています。

  • 03
    電力
    3,178kw

    非常用発電機を本館、救急棟、立体駐車場に設置し、停電時には自家発電に切替わることで、診療に必要な電力を継続して供給します。

  • 04
    ヘリ
    常時

    救急医療の専門医と看護師が同乗し、救急現場へ向かい、いち早く患者さんに救命医療を行います。

  • 05
    救援物資
    全国

    全国各所で発生した災害に迅速に対応できるよう平時から十分な物資を備蓄し、被災地へ支援することを目指しています。

  • 06
    院内設備

    災害発生時や感染症患者発生時などに患者収容スペースや診療スペースとして活用できるよう、整備しています。

  • 07
    特殊車両

    重篤傷病者に対し救命率を向上させるための効果的な初期治療を目的とした、特殊医療救護車両(ディザスターレスキュー)を整備しています。

  • 08
    全職員

    わたしたちは、苦しんでいる人を救いたいという思いを結集し、いかなる状況下でも、人間のいのちと健康、尊厳を守ります。

  • 訓練・研修
    • 常備救護班訓練

      日赤熊本は、常備救護班を9個班編成し、有事に即応できる体制を整えています。
      救護所の立上げから運営までを実際に練習する総合実技訓練。

    • 多数傷病者受入訓練

      大地震災害を想定し、救命救急センターで実働訓練を実施しています。
      毎年200人以上の職員が参加。実際に近い想定でシュミレーション。

    • 多数傷病者受入机上訓練

      地震を想定した多数傷病者受入の机上訓練を実施しています。
      「初動・患者の流れ・部門間の連携・情報の流れ」などの検証を行い、多数傷病者受入実働訓練につなげる。

    • トリアージ研修会

      職員の災害対応に関する知識の向上・技能維持を目的として実施しています。
      熊本県における災害対応強化及び各災害拠点病院・熊本県医師会との連携強化も目的に院外へも通知。

    • NBC災害受入訓練

      事故・事件・テロ等様々な要因で発生するNBC災害訓練を実施しています。
      N:Nuclear(核)
      B:Biological(生物)
      C:Chemical(化学物質)

    • 医療チーム活動訓練

      被災地での医療救護活動、災害対応への共通認識を目的に実施しています。
      災害時に協働する団体も参加。各団体の活動内容・目的を相互理解し、連携強化を図る。

活動記録

東日本大震災