臨床研究に関する情報公開
- 受付番号
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683
- 研究課題名
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MRSA試薬導入による注射用バンコマイシン(VCM)の使用状況の変化
- 当院研究責任者
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日髙 敏哉
- 研究分担診療科
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検査部
- 研究機関名
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熊本赤十字病院
- 研究期間
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2025年3月13日~2026年3月31日
- 研究目的と意義
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血液培養検査で分離される黄色ブドウ球菌(以下SA)菌血症の死亡率は34%と高いです。SAの耐性菌によるメチシリン耐性SA(以下MRSA)菌血症ではメチシリン感受性SA(以下MSSA)菌血症と比べて予後が悪く、感受性結果が判明するまでは経験的治療としてMRSAを考慮した治療戦略が推奨されます。そのため早期に鑑別することが重要です。当院では2022年度から全自動遺伝子解析装置によるMRSA遺伝子測定を開始し、MRSAかMSSAの判断が迅速にでき、早期に正しい抗菌薬へ変更することができるようになりました。そこで本研究では、導入前の2020・2021年度と導入後の2022・2023年度においてMRSAの治療で使用する注射用バンコマイシンの投与状況や投与患者の予後の変化について比較を行います。MRSA試薬導入の評価をしていくことは、今後の抗菌薬適正使用チームの活動において重要な事であり、今後の当院の抗菌薬使用に大きく影響を与えていくと考えています。
- 研究方法
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●対象となる方
2020年4月1日から2024年3月31日の期間中に血液培養にて血液培養陽性のグラム染色にてグラム陽性ぶどう球菌様細菌の発育を認めた患者さん
●方法
血液培養にてグラム陽性ぶどう球菌様細菌の発育を認めた患者さんを細菌検査システムにて抽出します。抽出後は、電子カルテより下記のデータ収集項目について参照し、データベースを作成します。 データ解析には統計ソフト(STATA)を用い、主要評価項目におけるリスク因子について多変量解析を行います。
●利用するカルテ情報
・基本情報(年齢、性別、入院日、退院日、死亡日、入院期間、持続菌血症、コンタミネーション、治療成功(7日目、14日目、28日目)、再入院(1ヶ月)、再発(3ヶ月)、死亡(48時間以内、7日以内、14日以内、28日以内)、院内死亡、ドレナージ日、ICU入室日、ICU退室日、透析、アレルギー、意識正常、見当識障害、混迷、昏睡、人工呼吸器、低血圧、心停止、体温)既往歴、診断、感染経路、抗菌薬使用日数・投与量)
・検査値(血液培養結果、MRSA遺伝子検査、WBC、PLT、 Cre、BUN、AST、ALT、LDH、lactate、CDトキシン)
・画像データ(経食道心エコー、造影CT)
・その他(抗菌薬適性使用支援チーム介入の有無)
●他機関へ提供する方法
他施設への提供はありません。