診療トピックス
がんの骨転移
がんの骨転移とは
骨転移は、身体の一部にできたがんが血液の流れにのって骨に広がることで発生します。
骨は、肝臓や脳などのように、がんが転移しやすい部位の一つです。
近年、新しい薬の開発などにより、以前よりがんの治療効果が上がっていることや、画像診断技術が発達し、よりがんを見つけやすくなったことから、がん患者さんが以前より長く生きられるようになってきています。しかし、がん患者さんが長く生きられるようになったことで、骨転移を有する患者さんの数は、増える傾向にあります。
「骨にがんが転移した」と聞くと、中にはもう余命わずかと思われてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、骨転移はただちに命にかかわるものではありません。
最も心配なことは、骨転移は強い痛みや骨折、麻痺をもたらすことがあるため、日常行動が制限されたり、元々のがん治療の継続が困難になってしまうことがあるということです。骨に転移が生じても早期に治療を行えば、それまでとかわらない生活を送ることも可能です。
大切なことは、できるだけ早期に発見して、早期に治療を行い、生活の質(QOL)を保ちながら、いかに自分らしい生活を送るかです。
骨転移しやすいがん
肺がん・乳がん・前立腺がん・多発性骨髄腫(骨転移全体の2~3割)
腎臓がん・肝臓がん(骨転移全体の1割程度)
※骨転移頻度が特に高いがんは上記ですが、どのがんでも起こる可能性はあります。
骨転移が発生しやすい部位
体重がかかる骨盤や大腿骨、あっぱくにより神経症状が出やすい脊椎などに移転すると骨折や麻痺が起こり、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
骨転移の症状
痛み
身体を動かしたり、転移部位に体重がかかったりすると強く痛むことがあります。
骨折
日常のちょっとした動作で折れてしまうことがあります。
麻痺
背骨に転移し神経を圧迫することで、手足のしびれや痛み・麻痺が起こります。
その他、体重減少や倦怠感、食欲不振、眠気などの症状が現れることもあります。
骨転移の治療法
内科的治療
元々のがんに対する治療(抗がん剤、分子標的薬、ホルモン剤など)に加え、鎮痛剤や骨を壊す細胞を邪魔して骨転移の広がりを抑える薬などを使用します。
放射線治療
外科的治療
リハビリテーション
当院の骨転移診療~多職種連携で患者さんをサポート~
当院では、骨転移の患者さんができるだけ自分らしい生活を送れるよう、血液・腫瘍内科医や整形外科医、放射線治療科医、看護師、理学療法士など多職種が連携して診療に取り組んでいます。
骨転移キャンサーボード