呼吸器内科Pulmonary Disease
肺炎、胸膜炎などの呼吸器感染症、気管支喘息などのアレルギー性疾患、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患、非結核性抗酸菌症や気管支拡張症などの慢性下気道感染症、間質性肺炎などのびまん性肺疾患、肺がんなどの胸部の悪性疾患、呼吸不全、気胸、血痰・喀血など、急性期から慢性期の呼吸器疾患の診断と治療を幅広く行っています。特に救急医療と肺がん診療に力を入れており、救命救急センターを経由して緊急入院される方が約5割を占めています。慢性呼吸不全の患者さんには、在宅酸素療法やNIPPVなどの導入を行い地域の医療機関と連携してます。

主な疾患・治療法


症状
肺がんはいまだに増加傾向にあり、1998年以降日本人の全がん死の第1位であり、全がん死の中で約20%が肺がんによるものです。肺がんの発見の契機としては、症状(咳、痰、胸痛、息切れなど)の出現や肺がん検診などで胸部レントゲンの異常を指摘されたこと(無症状)などが多くを占めます。
検査
胸部レントゲン検査や胸部CT検査などを行い、肺がんが疑われた場合には、病理学的な確定診断目的に気管支鏡検査、CT下生検、外科的生検などで病理組織検査を行います。その際にがんの組織型(腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌)と、組織を用いた免疫染色やドライバー遺伝子の検索など(EGFR遺伝子変異、PD-L1遺伝子変異など)を行い、分子標的薬、免疫療法を含めた最適な治療方法を検討します。全身への腫瘍の広がり状況を判断するためにCT、頭部MRI、PET-CTなどの画像検査、すなわち病期(ステージ)診断を行います。
治療
治療には外科手術、放射線治療、殺細胞性抗がん剤による化学療法、分子標的薬による化学療法、免疫チェックポイント阻害剤による免疫療法、あるいはこれらを組み合わせた治療を行います。各々の患者さんで年齢や全身の状態(基礎疾患や合併症、心・肺機能、栄養状態など)、組織型、進行度(病期)、分子標的薬の適応なども異なり、本人・家族と相談しながら最適の治療法を選択します。進行した患者さんには症状の緩和を主目的とした緩和・支持療法があります。これらを組み合わせた集学的な肺がん診療を実践しています。
気管支鏡検査(生検や気管支肺胞洗浄)を積極的に行い、必要に応じて病理学的な確定診断を得るため胸腔鏡下の外科的肺生検も実施しています。原疾患の有無や、間質性肺炎の病型と疾患活動性を正確に診断し、適切な治療法の選択、治療・管理に努めています。難治性の特発性線維症に対しては抗線維化薬の投与を行います。
実績
表1 検査治療実績

図1 入院患者内訳
