熊本赤十字病院

Stroke center

日本人の死因第3位、寝たきり原因の第1位である脳卒中は厚生労働省が指定する「5大疾病」の一つです。
一番の脳卒中対策は「予防」ですが、脳卒中を引き起こしてしまうと治療やリハビリテーション、介護など総合的で社会的な医療とケアが必要になります。また、脳卒中領域の診断技術や治療方法の進歩は目覚ましく、脳卒中専門施設での治療は、患者さんの予後を改善させたり死亡率を減少させたりすることがわかってきました。
そこで熊本赤十字病院では、脳神経外科や脳神経内科などの診療部と、看護師やメディカルスタッフなど専門性の高いスタッフを集めたチームを結成し、総合的かつより専門的な脳卒中治療を提供するため、「脳卒中センター」を開設しました。

診療実績

2022年度実績

急性期脳卒中 入院患者数
(脳梗塞)674人/年
(脳出血)208人/年
(クモ膜下出血)79人/年
直達手術(開頭手術)
131件/年
rt-PA治療
55件/年
脳血管内治療
(虚血性疾患)99件/年
(出血性疾患)32件/年

高度な脳卒中治療の追求

欧米では脳卒中の治療施設は、一次脳卒中センター(Primary Stroke Center:PSC)と包括的脳卒中センター(Comprehensive Stroke Center:CSC)に分類され、特に血管内治療などの高度な治療を24時間行うことができるCSCの役割が注目されています。

CSCでは脳卒中の死亡率が26%低下することが明らかとなり、日本においても脳卒中救急医療体制の整備が急務となっています。当院の脳卒中センターの解説は、近い将来CSCへの発展を見越した準備段階の一つです。

また、当院では、さらなる高度な脳卒中医療を追求し、より患者さんの予後を改善させ、死亡率を軽減するために、脳卒中ケアユニット(Stroke Care Unit:SCU)を設置しました。
今後も地域の医療機関の機能の分化、連携を図り、継ぎ目のない脳卒中医療の提供に努めます。

脳卒中ケアユニット(SCU)

急性の脳卒中患者に対し専門に治療を行う病床のことをいいます。脳卒中は発症初期の早い治療が延命や早期回復・改善に効果があるとされています。熊本赤十字病院では、脳卒中集中治療病棟内に当該病床を15床設置し、急性期脳卒中患者を年間通して常時受入可能な体制を整備し、包括的かつより専門的な医療の提供を行います。

脳卒中ケアユニット(SCU)に係る施設基準

下記の施設基準を満たし、診療体制を整えています。

01
病院の一般病棟の治療室を単位として行うものであること。
02
当該治療室の病床数は30床以下であること。
03
この医療管理を行うにつき必要な医師が常時配置されていること。
04
当該治療室における看護師の数は、常時、当該治療室の入院患者の数が3またはその端数を増すごとに1以上であること。
05
当該治療室において、常勤の理学療法士または作業療法士が1名以上配置されていること。
06
脳梗塞、脳出血及びくも膜下出血の患者を概ね8割以上入院させる治療室であること。
07
この医療管理を行うにつき充分な専用施設を有していること。
08
この医療管理を行うにつき必要な器機・器具を有していること。

24時間365日受入れ可能な体制の整備

総合救命救急センターを併設しており、24時間365日脳卒中患者さんに対応できる体制を整えています。初期対応は救急専門医が行い、その後の専門的な脳卒中診療は脳神経外科医と脳神経内科医がカンファレンスで情報共有を行い、治療方針を検討して行います。神経学的診察や神経画像検査(CT、MRI、脳血管造影検査)、アルテプラーゼ静注投与、血栓回収術や脳血管内手術、脳血管外科手術などは常時対応可能です。

チーム医療

脳神経外科専門医、脳神経内科専門医、脳卒中専門医、脳卒中の外科技術指導医、脳血管内治療専門医、神経内視鏡技術認定医、リハビリテーション専門医が在籍するほか、看護師、リハビリテーションセラピスト、薬剤師、メディカルソーシャルワーカーなど、専門性の高いスタッフを集結してチームで診療にあたっています。
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師を中心に、脳卒中看護を集約的に行うほか、リハビリテーションセラピストにより、脳卒中発症後できるだけ早期にリハビリテーションを開始し早期離床や日常生活動作練習、言語練習、摂食嚥下練習を行います。
特に、誤嚥性肺炎を併発した脳卒中患者さんは、死亡率の上昇や在院日数の延長、リハビリテーションの開始遅延を招きます。そこでNST(栄養サポートチーム)やICT(感染制御チーム)などと連携して、早期から口腔ケア、体位調整、摂食嚥下訓練、呼吸器リハビリテーション、適切な栄養管理などを行い、誤嚥性肺炎の予防に努めています。

熊本型脳卒中地域連携パスの活用

脳卒中センターでは、患者さん一人ひとりにとって安全かつ有効な治療の選択を行い、患者さんの早期リハビリの開始、早期社会復帰に努めています。
回復期リハビリテーション病棟への転院をスムーズに行うために、熊本型脳卒中地域連携パスに則り、療養支援室看護師や地域医療連携室と協力して、他の医療機関との連携や情報共有を進めています。