熊本赤十字病院

新型コロナウイルスに関するお知らせ

Transplant

1988年から腎移植診療を開始し、これまでに378名の方々に腎移植を行ってきました(2022年7月現在)。
近年、腎移植を希望される方が増加しており、熊本赤十字病院では腎移植診療に関するチーム医療のあり方を真剣に考え、
より質の高いチーム医療の実践を目指しています。
チームメンバーは、外科、総合内科、腎臓内科、小児科、泌尿器科、産婦人科、麻酔科などの複数の診療科と移植コーディネーターを中心に、薬剤師、看護師、管理栄養士、臨床検査技師、臨床工学技士、事務職員などで構成し、密接に情報共有を行いながら、毎月2~3例の腎移植を実施しています。
ハイリスク症例にも積極的に取組み、ABO血液型不適合腎移植、抗HLA抗体陽性腎移植、二次移植など行っています。 コロナ禍においても日本移植学会の指針にのっとり、感染対策に十分に配慮しながら、腎移植を行っています。

腎移植外来受診の流れ
Flow of transplant

腎移植外来は完全予約制です。
初回の診療は現在通院中の病院(医院)を通してご予約をお願いします。

生体腎移植

  • 外科外来受診(医師、移植コーディネーターと面談)
  • ドナー候補・レシピエントの適合検査
  • 手術前検査
  • 生体腎移植
    ※ドナーは約10日間の入院、レシピエントは約4~5週間の入院
  • 退院後のフォローアップ

献腎移植登録

  • 外科外来受診(献腎移植問診票を持参)
  • HLA(組織適合性)検査
    検査費用:30,000円 ※熊本県在住の方は9,000円の補助あり
  • 日本臓器移植ネットワークに待機者として登録
    初回登録料:30,000円(日本臓器移植ネットワークへ支払いまたは免除申請)
    ※住民税非課税世帯は所定の手続きにより免除
  • 待機期間
    登録更新料:5,000円/年(日本臓器移植ネットワークへ支払い)
    ※登録更新には年に1回当院の移植担当医の診察が必要になります。
  • 臓器提供者(ドナー)発生
    ※臓器提供発生医療機関から当院までの臓器搬送費用が発生する場合があります。
  • 入院 ~ 献腎移植手術
  • 日本臓器移植ネットワークへコーディネート経費(100,000円)の支払いまたは免除申請

お問い合わせ
Contact

外来受診に関すること:外科外来

TEL:096-384-2111

生体腎移植に関すること:外科外来

TEL:096-384-2111

その他、移植に関する相談:移植医療支援室

TEL:096-384-2111

腎移植手術
Kidney transplant surgery

レシピエント手術

ABO血液型適合移植で移植7日前、ABO血液型不適合移植で移植14日前に入院となり、各々の状況に合わせて免疫抑制剤の投与を開始します。通常提供される腎臓は右下腹部(右腸骨窩)に移植されます。移植する腎臓の血管は動脈と静脈の2種類があり、動脈は骨盤内の臓器(直腸、膀胱、子宮など)に血液を送る内腸骨動脈、もしくは足に血液を送る外(総)腸骨動脈と、静脈は足から血液が戻ってくる外腸骨静脈につなぎます(吻合)。また移植した腎臓から流れる尿が通る尿管と自分の膀胱も吻合します。
※新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、当面の間は14日前の入院となっています。

手術後は点滴のチューブ、ドレーンといわれる移植した腎臓付近の体液を排出するチューブ、尿を体外に出すためのチューブがついています。術後の状態が安定していれば1週間以内には全てのチューブを抜きます。その後も拒絶反応など起こさず経過が順調であれば、入院期間は手術前後も含めて4~5週間程度で退院となります。

ドナー手術

体に小さな穴を開けてカメラを挿入し、専用の器具を用いて腎臓を摘出する鏡視下手術(完全後腹膜鏡下)で行っています。従来の方法(開放手術)では腰部に20-30cmの大きな切開を加える必要がありましたが、傷が小さいことから術後の痛みが少なく、回復が早いという利点があります。手術2日前から入院し、手術後6-7日目には退院となりますので、入院期間は約10日間となります。一方、開放手術と比較すると手術時間の延長や手術手技の難易度が上がることなどの欠点もあります。当院はドナーの安全を最優先に考えて手術を行っております。手術の方法についても納得して頂くまで説明を致しますし、ご希望があれば開放手術による腎臓摘出も選択できます。

※上記内容は生体腎移植の流れになります。

献腎移植の場合(亡くなられた方からの提供)
突然連絡がありすぐに入院し手術となることがあります。
心停止ドナーの場合は数週間かかる場合もあります。
また移植後すぐに尿が出ないこともあり、移植後1-2週間透析を行うこともあります。
経過が良ければ移植後3-4週間で退院となります。

費用・手続き
Costs / procedures

手術検査 入院費用 総額
HLA検査 各種検査 診療費 食費 部屋代
ドナー ¥30,000
(移植後、返金)
¥20,000 負担なし 負担なし ¥3,000(大部屋) ¥100,000(個室) ¥53,000(大部屋)
¥150,000(個室)
※入院期間を14日間とした場合
レシピエント ¥57,000
(移植後、返金)
¥35,000 ¥5,000-¥40,000 ¥30,000 250,000(個室)
※術後のみ個室を利用される方は、 上記の額から10万ほど下がります。
¥412,000
※術後のみ個室利用:¥312,000
※入院期間を1.5カ月とした場合

HLA検査費用

検査費用は、保険外診療になります
生体腎移植手術の終了後に、ひと組分のHLA検査料(約87,000円)
の払い戻しがあります。

移植手術にかかる費用

腎臓移植の費用は、基本的に医療保険の負担割合によるお支払いとなります。
※さまざまな助成制度がありますので、申請をお願いしています。

腎臓提供者(ドナー)の費用

腎移植提供者(ドナー)の費用は、移植を受ける方(レシピエント)の医療費に含まれるものもありますが、提供者(ドナー)の保険でお支払い頂くものもございます。
しかし、医学的な理由などで移植が見送られる場合は、それまでにかかった検査代等の費用をご自身の加入されている医療保険、または自費でお支払いいただいております。
また、退院後の外来診療につきましても、手術後1か月以降からはドナーの方ご自身の医療保険でお支払いいただくことになります。

献腎移植の場合

手術を受ける方お一人分のHLA検査費用として、登録時に30,000円をお支払いいただきます。
※熊本在住の方は熊本県移植医療推進財団(角膜移植)からの助成により、21,000円となります。

助成制度

01

高額療養費制度

同じ病院や診療所で支払った1か月の医療費が、年齢と所得に応じた自己負担額を超えた場合に超えた分の金額が戻ってくる制度です。

お問合せ:保険者(保険証の発行機関)
02

身体障害者1級と特定疾病療養受療証(透析治療を受けられている方)

透析を受けている場合、「身体障害者1級」の資格と「特定疾病療養受療証」をお持ちの方がいらっしゃいます。
透析中は、特定疾病療養受療証を使用することで医療費の月額負担額が10,000円〜20,000円となりますが、腎移植を行い完全に透析から離脱された場合は特定疾病療養受療証が使用できなくなります。

ただし、身体障害者1級の資格は、移植した腎臓が機能しなくなり透析に戻るような時のためにそのまま継続されます。 この場合、自立支援医療(「更生医療」、「育成医療」)を申請いただくと、年間所得に応じた医療費助成制度が受けられます。

手術前に身体障害者3級または4級だった方で手術後の免疫抑制剤療法を実施している場合は、身体障害者1級として認定される場合、等級変更の申請が必要になります。

自治体(市町村)によっては身体障害者1・2級程度の重度の障害を持った方に対して「重度心身障害者医療助成制度」を設けている場合もあります。

お問合せ:身体障害者1級 :市区町村役所
特定疾病療養受療証 :保険者(保険証の発行機関)
03

自立支援医療(更生医療)

国または都道府県が指定する医療機関で治療を受けた時に医療費負担を補助する制度で、腎移植を受けた方は障害者総合支援法による更生医療の申請を行うことができます。
腎移植に関わる入院費や術後の免疫抑制剤費用についても一部負担されます。補助金額は、所得税額に応じて変わります。

なお、腎移植を受ける前に身体障害者手帳の交付申請が必要となります。

お問合せ:市区町村役所
04

自立支援医療(育成医療)

18歳未満の方で、現在かかっている疾患が将来障害を残すと認められる治療が対象です。
育成医療指定機関など確実な治療機関で、確実な治療効果が期待できる治療(外科的手技など)を行う場合に適応となります。
補助金額は、対象となる子どもさんを扶養する世帯の所得に応じて変わります
なお、腎移植を受ける前に身体障害者手帳の交付申請が必要です。

確認先:保健所
05

障害年金

一定の障害状態からそれ以上の改善が見込めない場合要件を満たした方が受給できます。すでに障害年金を受給している方は、移植後しばらく(最低1年)は継続されますが、その後の経過が良好で腎機能が安定していれば、減額もしくは支給停止になります。

Q&A
Q&A

Clinical trial 01

生体腎移植の場合は、血液型が違っても移植はできます。手術の前に、免疫抑制剤を追加したり血漿交換を行うことで、血液型が同じ場合とも成績はほとんど変わらなくなりました。

Clinical trial 01

腎臓が一つになった後の腎機能は提供前の7割程度に低下します。
その後はほぼ変化しないとされていますが、腎臓に悪影響を及ぼす合併症(たとえば高血圧、糖尿病など)が出現してきた方は腎機能が悪化していく危険があります。
腎臓を提供したドナーが、提供後も腎機能や健康状態に支障が無く過ごせるように、術前の評価はもちろん、提供後もきちんと腎機能や健康面でのチェックを受けていくことが大切です。

Clinical trial 01

おおよそ70歳未満が目安ですが、手術に耐えられる健康状態であれば、年齢のみで移植が制限されることはありません。

Clinical trial 01

透析を経験しないで、最初の腎代替療法として移植を受けることを先行的腎移植と言います。
透析期間が短いほど移植の成績が良いことがわかってきましたので、最近日本でも先行的腎移植が増えてきました。

Clinical trial 01

以下の場合は、移植ができない、あるいは移植前に治療が必要となります。
1.未治療、治療中、治療後間もない悪性腫瘍
2.慢性または活動性の感染症
3.性格や気質、精神疾患により自己管理ができない
4.手術に耐えられない合併症がある
5.ドナーとのクロスマッチ検査が陽性

Clinical trial 01

1.親族であること
2.自発的に腎臓の提供を申し出ていること
3.医学的に心身ともに健康であること
4.精神疾患がないこと
5.年齢は20歳以上、70歳くらいまで

実績

腎移植実施件数

スタッフ紹介

診療科

外科、総合内科、腎臓内科、泌尿器科、産婦人科、麻酔科、小児科

職種

医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、臨床検査技師、臨床工学技士、事務系職員、
レシピエント移植コーディネーター、(看護師)、院内コーディネーター(医師・看護師)

日本移植学会 移植認定医

内科
豊田 麻理子、川端 知晶
外科
横溝 博、山永 成美、日髙 悠嗣(留学中)
泌尿器科
稲留 彰人、山本 泰弘
小児科
伴 英樹

日本臨床腎移植学会 腎移植認定医

内科
豊田 麻理子、川端 知晶
外科
山永 成美、日髙 悠嗣(留学中)
小児科
伴 英樹