熊本赤十字病院

Clinical_Lesearch

マクロライド耐性株を含む乳児重症百日咳のアウトブレイクに関する検証

  • 承認日 | 2025.7.3
受付番号
704
研究課題名
マクロライド耐性株を含む乳児重症百日咳のアウトブレイクに関する検証
当院研究責任者
加納 恭子
研究分担診療科
小児科
研究機関名
熊本赤十字病院
研究期間
2025年7月3日~2025年8月31日
研究目的と意義
 百日咳(ひゃくにちぜき)は、かつて多くの子どもたちがかかっていた感染症ですが、現在ではワクチンの普及により、かかる人の数は大きく減少しています。しかし、生まれてから60日(2か月)未満の赤ちゃんでは、まだ予防接種を受けられないため、重症化しやすく、集中治療室(ICU)での治療が必要となることも少なくありません。近年、中国などで「マクロライド耐性株(たいせいかぶ)」という、通常使われる抗生物質(マクロライド系抗菌薬)が効きにくい百日咳の菌が見つかっています。2025年の春以降、日本の九州地方でも、こうした菌によると考えられる重症の百日咳の患者さんが相次いでいます。
 本研究では、当院で治療した百日咳の患者さんの経過を、過去の診療記録(電子カルテなど)を使って調べます。その結果、どのような方が重症化しやすいのか、治療や管理上の課題は何かを明らかにすることで、今後の診療の改善や、地域全体の健康を守る取り組みに役立てることを目的としています。
研究方法
●対象となる方
2025年1月から2025年5月までの期間に、熊本赤十字病院の小児科病棟または小児集中治療室(PICU)で入院治療を受けた、16歳未満の百日咳と診断されたお子さんが対象となります。
ただし、16歳以上の方、著しくデータが不足している場合、研究担当者が除外が妥当と判断した方は研究対象から除きます。

●方法
本研究では、「後ろ向き研究(後方視的研究)」という方法で、すでに診療が終了している患者さんの診療記録(カルテ)から下記の情報を収集し、解析を行います。

●利用するカルテ情報
具体的には、以下のような情報を確認します
• 患者背景・臨床所見(症状、年齢、性別、身長、体重、既往・病歴、家族歴、ワクチン接種歴)
• PICU関連因子:入院日、PICU入室日、入室経路、入院契機、入院前施設、搬送地域、ICU退出日、退出経路、退院日、非人工呼吸管理日数、人工呼吸管理日数、ICU在室日数、在院日数、重症度スコア(PIM2、p-SOFA)
• 血液所見(赤血球数、白血球数・分画、AST、ALT、総蛋白、アルブミン、総ビリルビン、クレアチニン、尿素、Na、K、Ca、Cl、PT、APTT、fig)
• 治療(薬剤(昇圧剤、抗菌薬)、酸素・ネーザルハイフロー療法、人工呼吸器管理、輸血、血液浄化、NO吸入療法、体外循環、白血球除去)
• 患者転帰:治療反応性・合併症・神経学的予後(PCPC)

●他機関へ提供する方法
本研究での予定はありません。