熊本赤十字病院

新型コロナウイルスに関するお知らせ

Clinical_Lesearch

痙攣重積型(二相性)急性脳症(AESD)のMRI所見と予後・脳萎縮との関連性についての後ろ向き研究

  • 承認日 | 2024.03.4
受付番号
599
研究課題名
痙攣重積型(二相性)急性脳症(AESD)のMRI所見と予後・脳萎縮との関連性についての後ろ向き研究
当院研究責任者
放射線科 菅原丈志
研究分担診療科
放射線科、小児科
研究機関名
熊本赤十字病院
研究期間
2024年3月4日~2026年12月31日
研究目的と意義
AESDは日本で1990年代後半から認識され始めた新しい症候群で、2015年に「痙攣重積型(二相性)急性脳症」として国の指定難病に認定されている。突発性発疹やインフルエンザなどの感染症を契機に痙攣と脳の傷害を生じる症候群で、日本の小児急性脳症でもっとも頻度が高く(約30%)、死亡率は低いが後遺症の頻度が高い。
AESDにおいて、拡散強調画像(DWI)を含むMRIは、最初の2日間は異常を示さない。late seizure後、MRIで皮質下白質の拡散制限がみられ、これはbright tree appearance(BTA)と呼ばれる。BTAは9~25日の間に消失し、その後脳萎縮が進行する。過去の研究で、このlate seizure後のDWI異常信号と予後との関連も指摘されているが、日常診療に応用可能な定量的評価はなされていない。また、我々が渉猟し得た限り、AESD後の脳萎縮を評価した研究はみられない。
本研究の目的は、小児AESDのMRI所見と予後との関連や脳萎縮の程度を検討することである。本研究により、AESD急性期に予後予測を行える可能性や脳萎縮と神経学的後遺症との関連性が明らかとなる可能性がある。
研究方法
●対象となる患者
60-70症例程度(下記対象患者のうち、除外基準を満たさない全症例)
①対象患者
小児 (15歳以下)で頭部MRIを撮影した症例のうち以下2つの群どちらかに該当する症例を対象とする。
・当院または前医で2012年2月から2023年12月までに頭部MRIが施行され、AESDの診断に至った小児(15歳以下)。
・比較対照とする目的で、当院で2012年2月から2024年1月までに3DT1WIを含む頭部MRIが撮影され有意所見がみられなかった小児(15歳以下)の症例も使用する。
②除外基準
1)研究対象者から研究参加の辞退の申し出があった場合
2)MRI画像がアーチファクトなどにより評価不能である症例
3)研究担当医師が登録に不適当と判断した症例
とする。

●方法
上記の条件にあてはまる患者を研究対象として登録し、AESDのMRI所見と予後・脳萎縮との関連性について、以下2つのテーマを設け後ろ向き研究を行う。
①late seizure後のADC mapから市販されている画像解析ソフト(Vitrea, Canon Medical Systems)を用い、拡散制限の体積を計測し、発症6ヶ月以降の神経学的予後を予測可能か検討する。
②AESD発症6ヶ月以降の3DT1WIで脳萎縮の程度は画像解析ソフトを用いて定量的に評価し、脳体積と神経学的予後やてんかんとの相関を評価する。
放射線科の研究者が診療に日常使用されたMRI画像情報を定性的、定量的に解析する。

●利用するカルテ情報
下記の診療情報を診療録より取得する。これらは全て日常診療で実施される項目であり、追加の検査などを必要としない。
① 臨床所見(年齢、性別、身長、体重、病歴、家族歴)
② 血液生化学的・髄液所見
③ 脳波所見
④ MRI所見
⑤ 予後(Pediatric Cerebral Performance Category Scale、てんかん発症の有無)

●他機関へ提供する方法
画像解析のため、熊本大学病院へMRI画像情報を提供する可能性があるが、その場合は個人を識別しうる項目は匿名化した上で使用する。持出し方法としては、当院のファイルサーバから所定の手続きを経て研究用ハードディスクに保管し、メール添付またはUSB、直接データ持ち込みのいずれかで提供する。データにはパスワードを設定し、研究者以外のアクセスを制限することにより情報漏洩防止に努める。