熊本赤十字病院

Clinical_Lesearch

心房細動カテーテルアブレーションにおける左房後壁隔離の有用性の検証

  • 承認日 | 2025.2.26
受付番号
676
研究課題名
心房細動カテーテルアブレーションにおける左房後壁隔離の有用性の検証
当院研究責任者
不整脈治療科 金丸 侑右
研究分担診療科
循環器内科
研究機関名
熊本赤十字病院
研究期間
2025年2月26日~2025年12月31日
研究目的と意義
心房細動に対するカテーテルアブレーションにおいて、その標準治療は肺静脈隔離術です。しかし心房が拡大している患者さんや心房細動が持続するようになった患者さんでは肺静脈隔離術のみでは再発リスクが高く、追加治療を行うことが検討されます。代表的な追加治療が、心房の線状焼灼と呼ばれるものです。特に左右の肺静脈隔離部の頂点同士を線を引くように焼灼し、さらに左右の肺静脈隔離部の底部同士に線を引くように焼灼することで(2つの線状焼灼を追加することで)、左心房の後壁を左心房の他部位から電気的に隔離することができ、これを左房後壁隔離と言います。左房後壁隔離について一定の効果が報告されてはいるものの、どのような背景の患者さんに有効し、術後の患者さんのQOLの改善や心不全や脳梗塞をはじめとする塞栓症の予防あるいは無効であるかということについて、確固たる報告はなされていません。
そこで、本研究では左房後壁隔離が有用な患者さんとその背景を明らかにすることを目的とし、当院でカテーテルアブレーションを施行した患者さんにおいて、「左房後壁隔離施行の有無」を含めて心房性不整脈再発に寄与する種々の因子の解析を行います。

研究の結果得られた知見を元に、今後の心房細動カテーテルアブレーションにおいて、標準治療である肺静脈隔離に加えて左房後壁隔離を追加するべきかどうかを判断する根拠となり、これが、ひいては治療の効果と安全性を担保し、術後の患者さんのQOLの改善や心不全や脳梗塞をはじめとする塞栓症の予防に繋がることが期待できます。
研究方法
●対象となる方
2021年1月~2023年12月の間に、当院で心房細動に対して初回のカテーテルアブレーションを施行された患者さんが対象になります。
ただし以下の条件に該当する方は除外します。
1)心房細動へのカテーテルアブレーションが初回ではない患者さん 
2)24時間ホルター心電図や植え込みデバイスチェックにて心房性不整脈の再発の有無を評価することができなかった患者さん
3)12ヶ月間follow upできなかった患者さん
4)CT、採血、心エコー等の情報が不足している患者さん
5)アブレーション施行前のCTにて左房容積が計測されていない患者さん

●方法
カテーテルアブレーション施行後3-12ヶ月間の不整脈再発の有無を電子カルテ情報を元に確認し、左房後壁隔離施行の有無をはじめ、下記のようなカルテ情報から抽出したパラメータと再発との関連性について、統計学的にその有意性を検証します。

●利用するカルテ情報
・臨床所見(年齢、性別、身長、体重、病名、現病歴 、既往歴、服薬内容、
飲酒歴、喫煙歴)
・血液所見(クレアチニン、尿素、Na、K、Ca、Cl、BNP)
・生理検査所見(12誘導心電図、24時間ホルター心電図、植え込みデバイス
心内心電図)
・画像検査所見(造影CTの左房容量)
・診療録所見:(入院時サマリー・入院時診療録・外来診療録・カテーテルアブレーションレポート)

●他機関へ提供する方法
他機関への情報提供予定はありません。