臨床研究に関する情報公開
- 受付番号
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723
- 研究課題名
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膵頭部癌術前の膵炎の併存が予後に与える影響の検討 ~傾向スコア分析を用いて~
- 当院研究責任者
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木原 康宏
- 研究分担診療科
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外科
- 研究機関名
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熊本赤十字病院
- 研究期間
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2025年10月6日~2026年12月31日
- 研究目的と意義
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消化器癌の中には診断時に炎症を伴うものがあり、炎症があるとない場合に比べて癌の悪性度が上がり手術後の生命予後に影響を与えるといわれている癌があります。膵頭部癌は膵炎を引き起こすことがありますが、 術前の膵炎の併存が手術後の生命予後に与える影響はまだ充分に解明されていません。 本研究の目的は傾向スコア分析により膵癌で手術を行った患者さんの背景を調整し均等化し、 術前の膵炎の有無が膵頭部癌手術後の生命予後に与える影響を検証することにあります。
- 研究方法
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●対象となる方
2019年1月から2025年8月に当院で膵頭部癌に対し膵頭十二指腸切除(PD)を施行した患者さん91例を対象としています。
但し、膵体尾部切除を行った後に膵頭部癌が生じPDが必要になった場合や、非根治術(手術の際に肉眼的に癌の遺残がある根治度R2)の場合は除きます。
●方法
患者さんの電子カルテの情報を抽出し以下の解析に使用します。
1 術前の膵炎の有無により患者さんを2群に分ける。
2 年齢、性別などの患者さんの因子、腫瘍の大きさ、リンパ節転移、などの腫瘍因子、術前因子として術前補助化学療法、腫瘍マーカーCA19-9値などを変数として使用し、それらすべてを傾向スコアという指標に要約する。
3 傾向スコアの近い患者さんを術前膵炎の有無の2群からそれぞれ1人ずつ選んでペアを作り、背景が近い集団を形成する。そのうえでその2群間で全生存率と無再発生存率を比較する。またその結果を別の検定法で検証するために逆確率重み付け法(IPW)という手法でも確認する。
●利用するカルテ情報
・患者さん因子:年齢、性別、BMI、糖尿病、黄疸、術前胆管炎、術前膵炎
・腫瘍因子:腫瘍のT因子、N因子(病理結果)
・術前因子:術前補助化学療法の有無、血液所見(赤血球数、白血球数・分画、AST、ALT、総蛋白、アルブミン、総ビリルビン、CRP、HbA1c、CA19-9、CEA)
・術後経過:術後補助化学療法の有無、再発の有無と再発部位、手術から再発までの期間、手術から最終確認日までの期間、最終の状態(生存か死亡)
●他機関へ提供する方法
ありません。